大学の時に、すでに農業をやると決めていたので、就職活動も農業系の法人を中心にやっていました。2社ほど内定ももらっていましたが「農業界は閉鎖的」とよく聞いていたので、一旦別の業界で働いた方がよいかと思い、ワタミに入社します。
関西で育ち、北海道の大学に通っていた自分は、ワタミ??居酒屋??という感じで、行ったことも聞いたこともありませんでした。当時、すでに居酒屋チェーンの中で勢いがありましたが、それは関東の中だけで、関東に縁のなかった自分はワタミの事をしりませんでした。
しかし、居酒屋をやりながら農業も始めていたということが気になり、会社説明会にエントリーします。
札幌開催の会社説明会に行った時には、たいして入社するつもりもなく、まぁ行ってみるかという感じで参加、その時に渡邉美樹さんの事をしります。その時は、正直「渡邉美樹、略してワタミか。ださいな。」くらいに思っていました、、、。
会社説明会では、「なぜ働くのか?」ということだけを話されていて、ワタミの業績や仕事内容の事はほとんど話さず、それまで幾つか参加した説明会とは全く違いました。
その話している内容に聞き入ってしまい、というかその会場にいた学生は皆聞き入っていたと思います。出る頃には、この人すげーな、と思ってました。
その後、面接や感想文なんかを何回かやって、担当社員のなんとなく良い感じだったことと、当時、居酒屋は飛ぶ鳥を落とす勢いで出店しており、すぐに店長になれそうだから、経営の勉強になるかなと思い入社を決めます。
当時、農業関係の人からは農業は一回サラリーマンとして働いてしまうとできない。だからやめておいたほうが良い、ということも言われましたが、今思うと、ワタミを選択した判断は正しかったと思います。そのまま、農家の研修に入ってたらと思うとゾッとします。
2004年に入社した自分は、ゴハンという業態の雰囲気が好きだったので、ゴハンを希望してその通りに入社します。
300人くらいの同期がいましたが、ほとんど和民で働いており、当時20店舗弱しかなかったゴハンには30人程度が入社しました。
当時はほとんどの社員が入社後一旦は居酒屋勤務になりました。
私は、ゴハン立川店に配属になります。
店の社員は、店長、副店長、私、新卒同期もう一人の4人でした。
立川北口から徒歩5分くらいの店で、大きな店ではなかったのですが、2フロア90席くらいで、月の売り上げは1000万くらいだったように思います。
入社前から結構ハードと言われていましたが、たしかにそうで一瞬で学生気分は吹き飛びました。
14時に入店し、仕込み、開店準備をして、閉店は深夜3時。閉店作業をして6時くらいに帰る。はじめは休みも週に1日か1日半ありましたが、忙しい時期や、人員が不足しているときなどは休みがない時も普通にありました。
また、研修も早朝に本社で開始されており、5時の始発で行って、7時からの研修に参加し、10時頃に終わって、帰ってから店の仕込みを始める感じで週に一回くらいは完徹、な感じで働いてました。当時は、通常で400時間以上働いていたと思います。
新卒で入社した同期は一年で約半数になりました。
ブラックだ!というと確かにそうかもしれませんが、当時はベンチャーの勢いのまま拡大していたという感じで、それをきついというよりは、熱い人たちが多く、ゴハンという業態を自分たちが絶対に立ち上げるという一体感があり、充実していました。自分たちがコミットした数字は絶対に守るという執念と、当時のリーダーに対して、この人の為に、という気持ちは社員全員が共有してもっていた気持ちだったと思います。会社の業績に関してもオープンで、数字を見れたことも勉強になりました、また完全に実力主義/成果主義だったこともモチベーションになりました。
ただ、この後ゴハンは業績が伸びずに縮小していきます。私は、将来は農業をすると決めていたので、別の業態へ異動します。
ゴハンのメンバーは、本当にどうすればお客さんが喜んでくれるかずっと真剣に考えていたと思います。情熱をもって仕事をしていましたが、結果業績は伸ばせず、この時に、気合や根性は事業立ち上げるときには必要だが、それだけでは事業を成功させることができないと感じました。
今もゴハンの業態はあり、近年は業績もよく出店を続けています。とても嬉しいです。
当時を振り返ると、社会人としての常識とかは微妙な感じでしたが、当時のワタミを経験できたことはとても良い経験でした。熱くて、人間くさい人が多く、当時を知っている社員は皆そう思っているはずです。私も当時の経験がなければ、独立して、「自分ならやれる」という気持ちはもっていなかっただろうと思います。
結局、1年半後に店長を経験させてもらい、業態はゴハンとわたみん家、合計4年勤務した後、希望して農業部門に異動します。契約農場の北海道の当麻グリーンライフで働くことになります。
つづきはまたこんど。